
認知症と診断された時、本人に告知するのか?しないのか?
それは、症状の状態、本人の性格、生活環境(一人暮らし)などによって判断が分かれるところです。
ですが、近年は認知症に向けていろいろな態勢が整ってきました。
薬によって進行を遅らせることも可能です。
その流れから現在はさまざまな対応を活かしてしくためにも「告知する」傾向になってきています。
では、詳しくみていきましょう。
告知するメリット
本人に判断能力が残っているのなら、認知症であることを告げられることは非常に辛いことです。
ですが、本人に少しでも判断力が残っている場合こそ、告知した方が良い点がいくつもあります。
【告知することのメリット】 ■進行を遅らせる薬の効果をあげることができる。 ■家族と相談しながら、できるだけ今までの生活を続けていくベストな選択ができる。 ■認知症だと自覚することで周辺症状の度合いが変わる。 ■仕事を続けるのか?辞めるのか?人生の大きな決定を自分で決めることができる。 |
このように本人に告知することでたくさんのメリットを得ることができます。

どうか薬が良く効きますように・・・
薬はプラシーボ効果といって、改善したイメージを描きながら服用すると効果がちがってくるといわれています。
なによりも、本人が前向きになることで一番ベストなサポートの仕方を家族と選択できることが一番のメリットでしょう。
本人にどのようなことができるのか?
認知症はタイプにもよりますが、一般的にゆっくりと進行していきます。
その間、本人が自分の認知症と真正面から向かい合うことでできることはたくさんあります。
日付がわからなくなるのを防ぐために | ■カレンダーで日付と曜日を確かめる。 ■予定を大きく書いておき、いつも確かめる。 |
---|---|
大切なものを紛失しないために | ■大切な物は置き場所をひとつに決めておく。 (置き場所は家族と一緒に決める) |
買い物で自信をなくさないために | ■買う物はもちろん、買わなくてよい物もメモしておく。 |
正しい生活習慣を守るために | ■夜寝るためにも昼間にできるだけ活動する。 |
体の調子を維持するために | ■体調を維持するために食事に気を配る。 |
このほかにも認知症と向かい合うことで本人ができることはもっとたくさんあるでしょう。
ですが、それには周りの家族の協力が欠かせません。
予定を書くときに見守る、メモを一緒に管理するなど、
つねに側にいてサポートしてあげる必要があります。
告知を受けて一番つらいのは本人
認知症は他の病気とちがって、「周りが大変!」となってしまい、本人よりも周囲のことが優先されがちになります。
それは認知症になった本人の思いを知ることがとても難しいことだからであり、それが長年の偏見と誤解を生んできました。
しかし、一番苦しい思いをしているのはやはり本人なのです。
その苦しみは人それぞれであり、本人の性格なども大きく左右します。
たとえば、元気な頃は亭主関白であり、自分が家族を守り、リードしてきたという自信があった人はどうでしょうか?
認知症になり、逆に面倒をみてもらうことになれば・・

くやしい・・なんてことだ・・
それは本人の生きがいだったことが崩れてしまったことを意味します。
認知症は脳の異常によってあらゆる症状があらわれますが、一番の苦しさは・・
自分の人生で大切にしてきたプライドが傷つく
この感情面の苦しみが一番大きいのではないでしょうか?
告知する方も辛いですが、何より告知された本人の苦しみは計り知れません。
そんな本人の気持ちにできるだけ寄り添ってあげるようにしましょう。