
「高齢者はうす味が好みである」
「高齢者は和食が好みである」
このように先入観で思い込んでいないでしょうか?
介護では、食べ物の調理の仕方が難しいハードルになることがあります。
もちろん、個人的な好みはありますが、高齢者の身体をくわしく知らないまま「高齢者は~である」という先入観で対応してもうまくいきません。
味覚もそのひとつです。
では、くわしくみていきましょう。
高齢になると味覚センサーが激減する
私たちは食べ物の味を舌の表面や口腔内にある味蕾(みらい)という感覚器官で、辛い、甘いなどの味覚を感じとっています。
しかし、高齢になるとこの味蕾という味覚センサーが激減してしまい、新生児の半分から3分の1になってしまうのです。
味覚は、塩味、甘味、酸味、苦味、旨味の5つに分類されます。
その中でも、まず塩味から鈍くなり、次に甘味が鈍くなっていく傾向があります。
うす味だけでは美味しくない
「高齢者はうす味が好みである」
この間違った先入観の出所として考えられるのは・・
「塩分は健康に良くない」
というイメージからきているのではないでしょうか?
しかし、ここにも大きな誤解があります。
塩の過剰な摂りすぎは確かによくありませんが、精製塩ではなく、自然塩ならば、余分な塩分はきちんと体外へ排出されます。
また、塩には身体を温める効果もあります。
あまりにも塩分を敬遠しすぎてしまうことは決して良くありません。
それに、塩を敬遠するあまり、控えすぎた味のうすい食べ物では、若い人が食べても美味しいとは思えないでしょう。

高齢者は味覚の衰えによって塩味を感じるセンサーが衰えるため、なおさらです。
高血圧のため、どうしても塩分控えめにしなければならない場合はダシをしっかりきかせてみましょう。
またレモンなどで酸味をきかせるのも良い方法です。
そうすれば、塩分をおさえながらも味覚が刺激されます。
和食だけではつまらない
「高齢者は和食が好みである」
これも間違った先入観です。
今の高齢者は洋食も食べ慣れています。
高齢者だからといって和食が好みだと決め付けてしまってはいけません。
オムライスやカレーライスや焼肉などの洋食など・・高齢になっても色々な物が食べたいのは若い人と変わりません。
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本人の好みにもっと耳を傾けて、献立を考えるようにしてみましょう。
食べることは楽しみのひとつ
人生の中で美味しいものを食べることは大きな楽しみのひとつです。
たとえ、味覚が衰えてしまってもそれは変わりません。
「せっかく作っても食べてくれない・・」
このような時は、「高齢者だから~」という先入観にこだわらないようにして、色々とバリエーションをつけて試してみましょう。
また、食欲をそそるようにしてあげることも大切です。
たとえば、なかなか食欲がわかない本人に対して・・
「さあ!食べましょう!」
といってもあまり効果はありません。
それよりも・・

このお魚すごく美味しそうだね!
認知症の場合、食事中なのに気持ちがどこかにいってしまってパタッと手がとまってしまうことがあります。
そのようなときにはこのように言って、食事中であること、そして食欲がわくように促してあげましょう。
(参考記事)
食事を摂ることは健康維持に欠かせません。
さまざまな先入観は捨てて、なによりも本人の希望に合わせて美味しく食べてもらえるように工夫してみましょう。