
介護に疲れてしまう原因はさまざまです。
介護者が自分のやり方や考え方を工夫することで改善できることもありますが、どんなに努力しても変えることができない問題もあるでしょう。
とくに疲れの大きな原因となるのが人間関係。
家庭にはそれぞれ、さまざまな事情があります。
どの家庭もすべてが仲良しこよしではありません。
時には身内だからこそ、マイナス感情が強く湧き上がることが多々あります。
介護者ではどうしようもない問題を無理に改善しようとするのはよけいに疲れてしまうだけ。
そのようなときは、思い切って逃げることも大切なのです。
ストレスとはいったい何か?
まず、私たちがよく呼んでいるこのストレスとはいったい何なのでしょうか?
そこから考えていきましょう。
人間の体は絶妙なバランスを保って健康を維持しています。
そして、そのバランスを維持させるための装置としてストレスがあります。
もしも、ストレスを感じると脳は・・
■自律神経系
■内分泌系
■免疫系
この3つの機能に働きかけて、バランスを維持しようとします。
ストレスを感じることは身体が警戒態勢に入ることを意味しています。
血管は収縮し、血圧を上昇させ、瞳孔が開き、戦いに備える態勢に。
このようにストレスがあるからこそ、人間の体は外部からの危険に対して立ち向かうことができるのです。
問題はストレスが続くこと
ストレスというと一般的に「良くないもの」というイメージがありますが、そうではありません。
ストレスには、「良いストレス」と「悪いストレス」があるからです。
■良いストレス
適度なストレスは脳に刺激を与えてくれます。
そして気持ちの面でも、適度なストレスは気持ちを奮い立たせてくれる原動力に。
このように適度なストレスは必要であり、目標に向かって進むための「やる気」をおこしてくれます。

■悪いストレス
悪いストレスとは、休憩がなく、ずっと続くストレスです。
警戒態勢とは、その時だけに必要なものであり、ずっと続いてしまえば、自律神経系、内分泌系、免疫系の3つのバランスが崩れてしまうことに。
すると、体は不調という形で、黄信号を出してきます。
「これ以上、ストレスをかけないで!」と。

胃痛、腰痛、肩こり、頭痛、吐き気、めまい
冷え、だるさ、不眠、食欲不振など
このような症状が出始めたら、決していつものことだからと甘くみてはいけません!
ストレスが赤信号になるまえに自分の身体と心を見つめなおすことです。
ストレスからの逃げ方
では具体的にどのようにしてストレスから逃げれば良いのでしょうか?
■苦手な人とは距離をおく
どうしても合わない人というのは存在します。
そのような苦手な人と無理に親しくなろうとする必要はありません。
同居していて身近にいる場合だったら、心だけでも距離をおきましょう。
■苦手な人の言葉は無視
苦手な人の言い方や考え方を変えることはできません。
何とかしようと思わず、あきらめましょう。
まずは自分の体と心を守ることが優先。
相手から受けるイヤな言葉や行動はできるだけ無視するようにしましょう。

無視無視!受け流そう!
■他の人に助けを求める
介護でどのようなことに負担がかかるのかは人それぞれです。
ある介護者は食事の世話、ある介護者はコミュニケーションなど、誰にでも得意とすること、不得意なことがあるもの。
「自分の苦手なことは何か?」
それを見極めてみましょう。
その苦手なことがストレスの原因かもしれません。
自分の苦手なことは他の家族や介護保険サービスを使って助けてもらいましょう。
■自分の好きな時間を作る
介護に多くの時間を割かれてしまっても、短時間で良いので自分だけの時間を作ってください。
スポーツや、趣味、なんでも良いので自分が自分だけのことに没頭できる時間を作ります。
ちなみに筆者はウォーキングが大好きです。
ウォーキングをしながら、黙々と道を見つめて歩いている時はすべての悩みや重荷から解放された気分になれます。
このように自分が大好きなことを続ける時間だけは必ずもつようにしましょう。
我慢は美徳ではない!
日本人は昔から我慢することを美徳として捉える傾向がありました。
しかし、それはもう過去のことにしましょう。
辛さを我慢することは決して美しいことではありません。
逆に自分を追い詰めてしまい、ストレスの信号を赤にしてしまうだけです。
介護で疲れたとき、さまざまな改善策がありますが、その選択肢の中に「逃げる」ことも入れておいてください。
介護者のあなたまで倒れてしまっては意味がありません。
まずは自分の体と心を守ることを優先的に考えてください。