
介護はとても大変なことです。
その介護を誰がするのか?
介護をスタートさせる前に家族と親族が集まってしっかり話し合う必要があります。
では、くわしくみていきましょう。
目次
いつ話し合うのか?
介護が始まるきっかけはさまざまです。
たとえば、脳卒中や心筋梗塞などの発病、転倒による骨折などの事故。
そのような場合はまず入院することになりますが、病気やケガが安定してくれば、医療から介護の場へ移行することになります。
認知症と診断された時も移行のきっかけになるでしょう。
しかし、介護が必要になるのは、病気やケガだけが発端になりません。
精神的な異変も重要です。
たとえば、配偶者を亡くして、精神的にグッタリとしてしまい、うつ症状が出るなど。
「年をとっていく」ということは大切な人との別れも多く経験するということ。
また、それによって年をとってからの引越しなど、環境の変化もつきまといます。
そのような精神的不安から気力をなくしてしいまい、介護が必要になるケースもたくさんあるのです。
介護の前に家族会議で話し合う
無理のない介護を目指すためにも、きちんと家族会議を開いて主なことを決めましょう。
昔は、長男長女がリーダーシップをとって決めていましたが、今は核家族の時代。
長男長女に関係なく、
■本人の側に住んでいる(同居している)
■本人の状態をよく理解している
■本人との信頼関係が大きい
これらのことが当てはまる家族が他の親族に呼びかけて召集しましょう。
家族会議を開く前に本人の希望を
本人に判断能力があり、家族と話ができる状態ならば、家族会議の前に本人からしっかりと希望を聞いておくことが大切です。
どんな形で暮らしたいか? | ■このまま自宅で暮らしたい ■自宅で暮らしながら介護サービスを受けたい ■施設に入所したい |
---|---|
誰に介護されたいか? | ■次女に介護されたい |
日常生活で助けてほしいことは? | ■買い物の付き添い ■病院の送り迎え ■ご飯の支度、片付け |
介護費用の負担について | ■貯金と年金 ■その他(家族、親族で話し合う) |
「誰が介護をするのか」を決める
まずは本人の希望を伝えましょう。
そして、本人の希望を優先的に、「誰が介護するのか」を決めます。(以下:主たる介護者)
ひと昔前のように、「長男の嫁がみるべき」などの考えは今は適応しません。
■本人が介護してほしいと思っている人
■本人と同居していて一番身近にいる人
■一人暮らしの場合は近くに住んでいる人
これらが決めるポイントになるでしょう。
しかし、ここで大きな注意点があります。
それは主たる介護者は「現在」のことであって「将来ずっと」というわけではないことです。
年月が経てば主たる介護者も年をとりますし、またさまざまな事情が変わってくるでしょう。
そのこともふまえて、「あくまでも現在は」という形で決めておくと、主たる介護者の不安が軽減され、良い介護のスタートがきれる励みになります。
話し合いは主たる介護者を中心に
主たる介護者を決めたあとは、その主たる介護者の意見を一番に尊重しながら進めていきます。
認知症の診断が下っている場合には、まずその内容を全員に伝えましょう。
「本人の今の状態」と「これから起こるであろう状態」を全員に理解してもらいます。
そして、以下のことをポイントに話し合っていきます。
■介護をする側は誰もが平等
まず、ひと昔前のように「介護は誰かひとりが全て引き受ける」という考え方は捨てましょう。
現代の介護は、昔のように閉鎖的ではなく、介護サービスもあり、社会に開かれた介護に変わってきました。
介護は主たる介護人だけでなく、家族全員、そして親族全員、さらに外部の介護援助も加えていくことが必須となります。
■介護の一部支援の仕方を決める
介護は色々な形で加わることができます。
たとえば、介護の一部援助について、、

毎週は難しいかもしれないけど、土日の介護は引き受けるわ

私は電話をしておしゃべりの相手になるね
また、経済的な援助について、、

僕は経費を月○○円負担するよ
このようにそれぞれが自分にできることで、できるだけ平等に介護に加わるよう申し出ます。
とくに介護費用については念入りに
介護には思った以上にお金がかかるものです。
介護サービス利用料、バリアフリー工事費、介護用具、医療費、施設入居費など。
おおまかで良いので、支出項目と、支出金額を確認して、本人の年金では足りない費用分の負担をしっかり話し合いましょう。
介護保険や施設入所の保証人
介護保険サービスを受けるには保証人を決める必要があります。
また、施設に入所する場合も保証人がいります。
保証人とはどのような役割があるのかを説明して、保証人を決めましょう。
話し合いは記録しておく
介護は「今の状態」から「ちがう状態」へ変化していくものです。
さまざまな事態が起こってから、「話し合いのときにこう言った、いや言ってない」などと、もめることになりかねません。
そうならないためにも話し合いの内容はきちんと記録しておきましょう。
最終決断は主たる介護人がする
話し合いを行う中で、色んな意見が出て、色んな対応策が出てくるでしょう。
しかし、最終的な判断は実際に介護をしていく「主たる介護人」が決断するようにします。
本人の自立を支援できる介護を
認知症の中核症状は変えることができません。
しかし、周辺症状は環境や介護のケアの仕方で発症をおさえることが可能です。
(参考記事)
そのためにも、本人に残された能力を大切にし、失わせないケアが必要です。
介護する側はついつい自分の予定もあるため、何でも先回りしてやってあげてしまいがちになるもの。
しかし、それでは介護される本人が甘えすぎてしまうことがあり、決して良い結果になりません。
家族会議では
どうやれば、本人の自立を支援できる介護ができるのか?
そして
どうやれば、皆で支えあい、無理のない介護ができるのか?
このことを軸に話し合うようにしましょう。