
今では、日本の死亡原因のトップはガンですが、戦後から1980年までは脳血管障害(脳卒中)が一位でした。
脳卒中になる人がすべて亡くなるわけではありませんから、助かった人の中から後遺症として認知症が発症することがあります。
では、血管性型の認知症についてくわしくみていきましょう。
障害を受けた場所と程度によって異なる
血管性型認知症は、脳梗塞や脳出血が原因となっておこるため、症状があらわれる時期がはっきりしています。
つまり、脳梗塞や脳出血を起こし、一命をとりとめ、治療を続けている時に、物忘れや普段とちがう行動や言葉が出始めます。
そのため、周りは「これらの症状は脳梗塞が原因なのだな」とわかりやすく即座に対応に移ることができます。
■脳梗塞とは脳内の流れる血管が詰まってしまう病気。
■脳出血とは脳内の流れる血管が破れてしまう病気。
いずれも、その障害があった血管の周りの神経細胞がダメージを受けてしまうことになります。
脳は各場所ごとに担当を受け持っていますから、どの場所の血管に障害がおこり神経細胞にダメージを与えたかで症状の内容が異なってきます。
血管性型の特徴
血管性型の特徴をさらに詳しく説明すると以下になります。
■どちらかというと男性の方が多い。
■発症後、少しは回復するが再発作がおきるたびに階段状にガクンガクンと悪化していく。
■初期には症状に対する認識があり、人格は後期まで保たれる傾向がある。
■手足の麻痺や感覚の障害など、神経症状があらわれることがある。
■ダメージを受けた場所によっては、うまく話せない言語障害があらわれることがある。
■一日の気分が変わりやすく、情緒不安定になりやすい。
■集団生活や活動に馴染みにくい傾向がある。
回復、進行を遅らせるために
血管性型は脳梗塞や脳出血などハッキリとした病名が原因ですから、これらの発作を再発させないことが悪化を防ぐための有効な手段となります。
つまり、食生活の見なおし、適度な運動、規則正しい生活。
血管と血液の質を良くするために、これらの基本をもう一度見なおす必要があるでしょう。
ほかにも、脳梗塞を予防する薬や血圧をコントロールする薬によって脳の健康を維持することも可能です。
心理的な症状には
血管性型はBPSDといって行動・心理症状が落ち込んでしまう傾向があります。
無気力なり、何をするにも意欲がなくなってしまうため、うつの症状が出ることも。
また、集団生活や活動に馴染みにくいため、介護保険のデイサービスやショートステイを嫌がってしまうこともあります。
血管性型の特徴に配慮した接し方を
このような血管性型認知症には、その特徴を考えながら慎重に接していくことが大切です。
たとえば、いきなり、服を脱がせたりなどはせず、必ず一声かけ、了解をとるようにします。

そろそろ下着を着替えましょうか?

ん?ああ。そうだね
このように、丁寧に向き合って静かに対応してあげると素直に従ってくれる傾向があります。
また、規則正しい生活をするためにも昼はできるだけ起きて活動にあてることも大切。
そのためには、本人が無理をしなくても楽しめることを優先的にしてもらうことです。
昼間の活動時間を少しずつ増やしていくことで夜には眠れるようにうながし、規則正しい生活が守れるようにしてあげることが大切です。