
私たちは心のどこかで「年を重ねたらこうなる」という先入観をもっているものです。
性格もそのひとつ。
実際、あなたはこう思っていませんか?

年を重ねると色々なことを経験するから性格が丸くなるんだよね
このように、年を重ねれば色々な経験から若い頃にあった角がとれていき、丸くなっていくと思っていませんか?
ですが、これは間違った先入観だといえます。
では、くわしくみていきましょう
目次
ほとんどの人は束縛の中で暮らしている
私たちは生きていく以上、他の人と協調していかなければいけません。
そして、円滑に他の人と協調していくためには、「常識から外れないようにしなければ」と心のどこかでいつも気をつけているものです。
とくに日本人は誰もが小さい頃から親に、
他の人に迷惑をかけてはならない
と、強く注意されて教育されてきました。

とにかく、他の人に迷惑をかけることをしてはいけないよ
しかし、ある意味、何が常識なのか?何が非常識なのか?
それは、時代ごとに変わっていくものであり、私たちは現代の常識に合わせて生きているのにすぎません。
このような移り変わっていく常識なのに、その時代にとっては大きな束縛になります。
常識から外れないために合わせている
私たちは個人個人それぞれに違った性格をもっていますよね。
ですが、世間の常識に合わせるために、自分の性格を表にださないように閉じ込めてしまうことがありませんか?
たとえば・・
■本当はとても腹が立ち、怒鳴りたい時であっても、それをしてしまえば常識的に外れてしまうと思い、グッと我慢する。

はい、申し訳ありません(なんで、いつもオレばっかり・・)
■やりたくないことでも、良い人だと思われたいために引き受けてしまう。

うん、大丈夫、ボクがやっておくよ(めんどくせー・・)
などなど、本来の思いを押し殺して、別の行動をとることが誰にでもよくあるものです。
もとの性格はずっと変わらない
若い頃は口うるさかったのに、年をとるとおとなしくなり、丸くなったようにみえる高齢者がいるとします。
しかし、それはただたんに・・
■衰えてきたため、若い時のようにあれこれ言う気力がなくなった。
と、いうことが多々あります。
つまり、性格というのはいくら年を重ねていっても簡単に変わるものではありません。
高齢になると感情抑制が難しくなる
高齢になると、老化によってさまざまな部分が衰えてきます。
なかでも感情を抑制している脳の前頭葉が衰えてしまえば、若い頃のように周りに合わせることがなかなかできません。
たとえば、相手に頼み事をしてもなかなか行動してくれないとき、
※若い時ならば・・

難しければ、私が代わりにやっておくよ
このように若い時ならば、心の中で腹を立てていても相手に合わせてあげることができます。
しかし、高齢になり、脳の前頭葉が衰えてしまうと感情の抑制がなかなかできません。
※高齢になると・・

なんでそんな簡単なことがすぐできないの!!!
このように、思ったことが正直にそのままブレーキをかけられることなく口から出てしまうことがあるのです。
誰でも老いればそうなる
認知症になると、前頭葉の衰えに加えて、病気に対する大きな不安感がのしかかります。
(参考記事)
その不安から、さらに感情を抑制することが難しくなります。
ですが、これは認知症という病気と、高齢による老いによって協調性がなくなってしまったことが原因です。
しかし、ポジティブに考えると、若い頃に「~こうしたらいけない」、「~こうしなければならない」など、世間の目を気にして生きてきた人にとっては解放になるかもしれません。
ですが、以前の本人とちがう態度に家族は驚かされます。
もしも、高齢者に対して抱いている一般的な年寄りのイメージに固執してしまうと、そのままワケがわからず振り回されてしまうことになるでしょう。
ですから、基本として、
誰でも老いればそうなる可能性がある
ということをしっかり覚えておく必要があります。
察してあげる気持ちを大切に
介護する側は、老老介護でない限り、高齢者の気持ちは自分がなってみないことにはわかりません。
しかし、あらゆる先入観を捨てて、高齢者の心身の移り変わり、そして認知症という病気を正しく知ることで、本人の気持ちを察してあげることはできます。
■感情の抑制が難しい
■今まで我慢していたことがストレートにでてしまう
■認知症によって大きな不安がのしかかっている
これらのことを、察してあげることができれば本人の状態に対して理解ができ、介護する側に心の余裕がもてます。
それが本人にとっても楽になることであり、より良い介護ができる大切なことだといえるでしょう。