
認知症の人は「自分が病気である」ことを認識してない場合が多くあります。
一般的に薬を飲むときは「自分が病気だから」という前提のもとに飲みますよね。
しかし、認知症の場合、病気である自覚がないため、
「なぜこんな薬を飲まないといけないんだ!」
と、拒否されてしまうことがあります。
ですが、薬はきちんと飲まなければ現在と未来の認知症の進行に大きな影響があります。
では、このように薬の服用を拒否されてしまう場合、どのような対応をすれば良いのでしょうか?
粉末の苦い薬
漢方薬などは粉末で苦い薬が多いですよね。
このような粉末は喉にむせやすく、とくに高齢者の場合は気をつけなければいけません。
ですが、漢方薬はその苦味や香りも効果のひとつです。
そのため、オブラートや服用ゼリーなどに包んでしまうと本来の効果が発揮できません。
一番おすすめな飲み方は、
■ぬるま湯に溶かして、ハチミツなどで少し甘みをつける
このようにして飲めば、漢方薬の効果はそのままで粉薬や苦味も気にならなくなります。
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これでもダメな場合にオブラートや服用ゼリーの使用を考えましょう。
とくに最近の服用ゼリーは飲みやすさだけでなく効果効能もよく考えられたものもあるので試してみるのも良いでしょう。
貼り薬
認知症の貼り薬は、服用するわずらわしさもなく、また嚥下障害の人も安心して薬の効果が得られる大きなメリットがあります。
ですが、勝手に剥がしてしまったりする場合はどうすれば良いでしょうか?
■背中など気にならない所に貼る
胸や腕など、本人の目に入りやすい所ではなく、背中などに貼りましょう。
■貼る時はリラックスさせてあげる
貼る時は、薬を貼ることだけに集中しないようにしましょう。
背中を優しくさすって緊張感をとり、リラックスさせてあげながら貼ります。
また会話をしたり、本人の好きな歌をうたいながらも良いでしょう。
※かゆくなってしまう場合
汗などを拭いて皮膚をつねに清潔な状態にして貼りましょう。
また同じ場所に貼らずに毎回ずらして貼るようにします。
はがした後に、粘着剤が残っている場合は綺麗に拭き取りましょう。
保湿の軟膏や、かゆみ止めの塗り薬も効果があります。その場合はかかりつけ医に相談してみましょう。
どうしても飲んでくれない時は
どうしても飲んでくれない時は無理強いせず、いったん間をおきましょう。
認知症は心理状態が大きく症状を左右します。
薬の服用でもめてしまい、飲む側と飲ませる側がお互いイライラしてしまっては意味がありません。
そのようなときは、
■薬を飲ませる人を交代する
案外この方法であっさりと飲んでくれることもあります。
■落ち着いている時に飲ませる
医師に相談して、本人の状態が落ち着いている時に服用しても良いかどうか相談してみましょう。
■薬を減らす
高齢になると薬の種類や量は増えていくものです。
しかし、コレステロールや血圧を下げる薬は80才以上になると逆効果になる場合もあり、人によっては絶対に必要ではないこともあります。
医師に相談してみて、もしも不要な薬があるようならば減らしてもらえるかどうか相談してみましょう。

薬は最後まで飲んだか確認を
薬を飲みたがらない人は、水で流し込むときに一緒に吐き出してしまうこともあります。
また、飲まずにポケットにたくさん溜め込んでしまう人も。
そのようにならないために、本人に薬を手渡す場合はその場にいてきちんと飲むか確認するようにしましょう。
薬は一回分づつ、一包みで
認知症という病気でなくても、誰でも薬の飲み忘れはあるものです。
また、飲んだことを忘れて二回分飲んでしまうことも。
そのようにならないためにも、本人に薬を手渡すときは一回分ずつ渡すようにしましょう。
さらに、薬が複数ある場合は医師に相談し、可能ならば一包みにまとめてもらいましょう。
そうすることで薬の飲み間違いなどを防ぐことができます。
薬のことで疑問があることは相談する
薬の効能だけでなく、「飲んでくれない」などの悩みも医師や薬剤師にドンドン相談するようにしましょう。
認知症の薬は進行に歯止めをかける大切な効能があります。
それは本人のためだけでなく、周りの家族のためにとても重要なことです。
きちんと薬を飲んでもらえるよう、本人に合った最善の対応をするようにしてください。