
認知症発見のきっかけとなるのが、普段とちがう行動や言葉です。
ですが、認知症かどうかを正しく見分けるためには普段の状態をよく知っていなければいけません。
なぜなら、その行動や言葉が認知症によるものなのか?
それを比較することができないからです。
それにはやはり、本人をよく知っている周りの家族の気づきが必要となります。
詳しくみていきましょう。
普段とちがう行動とは?
では、普段とちがう行動とはどのような症例があるでしょうか?
■ご飯にお茶をかけることはあったが、お味噌汁をかけるようになった。
■買い物の会計で細かい小銭を出してマメに払っていたが、お札で払うようになった。
■人と話すのが大好きだったが無口になった。
■きちっと時間を守るタイプだったが守らなくなった。
■電話に出なくなった。
■同じ物を買い込んでくるようになった。
これらの行動は、普段から本人を知らなければ気づかないことばかりです。
なぜなら、普段から同じことをしている人にはそれが「いつもの状態」であり、認知症の症状だと判断することができません。
普段とちがう言葉とは?
では、普段とちがう言葉とはどのような症例があるでしょうか?
■優しかったのに言葉使いが荒くなった。
■よく怒鳴っていたのに優しくなった。
■言い訳をするようになった。
■独り言を話すようになった。
これらの言葉も、行動と同じく、普段から本人を知らなければ気づくことができません。
言葉が変わってくると、目つきなどの表情も変わってくるため、まるで人格が変わってしまったように思うこともあるでしょう。
家族にとっては非常にショックなことですが、人格があきらかに変わったと感じる場合は早めに対処しなければいけません。
どうして行動や言葉が変わるのか?
認知症になると、どうして今までとはちがった行動や言葉になるのでしょうか?
認知症の過半数を占めるアルツハイマー型は脳が萎縮などの異常を起こして発症します。
そのため、新しい記憶からすっぽりと忘れやすくなるのですが、感情などの本能的な記憶は最後まで残ります。
たとえば・・
※優しかったのに言葉使いが荒くなる本人の心理状態は・・

おかしい!なんでうまくできなくなったんだ・・・イライラ
※言い訳をするようになった本人の心理状態は・・

こんなはずないわ。今日はたまたま調子が悪かっただけよ・・
このように、いつもとちがう行動や言葉になってしまう理由は、認知症の症状に本人が戸惑い、不安になっている状態なのです。
認知症は体の病気
認知症になると、普段とちがう行動をしたり、言葉が変化することがあるため、心の病だと思われがちです。
しかし、認知症は心ではなく体の病気です。
たとえば、体の病気ならば、痛い、苦しいなどの症状があらわれますよね。
もし家族の誰かがそのような状態を訴えてきたら、なんらかの病気ではないか?とすぐに疑うことができるでしょう。
認知症もそれと同じです。
たとえ体が痛くなくても・・
たとえ体が苦しくなくても・・
普段とちがう行動や言葉の元になっているのは、脳の異常という体の病気なのです。
その異常を、痛みや苦しみと同じように、普段とはちがう行動や言葉で周りに訴えてきているのです。
それは時として、家族が迷惑だと思うような行動や、言葉かもしれません。
しかし、周りの家族は感情的にならず、認知症とは脳の病気であることを忘れないようにしてあげてください。
早期発見のためにも、普段とはちがう行動や言葉になったら必ず認知症を疑ってみるようにしましょう。