
認知症の早期発見が遅れてしまう最大の原因はなんでしょうか?
それは・・
本人みずから行きたがらないことです。
認知症の疑いをもった家族からすれば何としても早く病院で診てもらいたいですよね。
では、どのようにすれば病院に行って検査を受けてもらうように本人を動かすことができるのでしょうか?
くわしくみていきましょう。
自分はちがう!という強い気持ち
認知症は初期の頃ならば、「自分の状態が変だということ、そして、周りに迷惑をかけているということ」を自覚しています。
ところで、あなたは認知症という言葉を聞いてどのような印象を持ちますか?

自分の身の回りのことができなくなって、他人のお世話にならないといけない・・そんな感じかな
このような暗いイメージですよね。
認知症と聞いて明るいイメージを持つ人など誰もいません。
さらに近年では高齢者の増加にともなって認知症の患者も多くなり、テレビなどで大きくとりあげられるようになりました。
実際に自分たちが住んでいる周辺でも認知症による徘徊騒ぎがあったりと、もはや絵空事ではなくなっています。
そのようなテレビ番組や、実際の情報を聞くたびに誰しもが・・

自分はあのようになりたくない・・絶対になるはずがないわ
このように思ってしまうのは当然のことでしょう。
そのため、認知症の症状があらわれだしても、「年のせい」ということにしてなかなか認めようとはしないのです。
ですから、ほとんどの人の場合、症状を必死に隠そうとしてしまいます。
まずは家族が相談に行くこと
必ずしも認知症の専門科に最初から本人を連れて行くことはありません。
嫌がっている場合は、まず家族だけが行って相談をしてみましょう。
医師が親身に話を聞いてくれ、症状の対応と受診をうながすアドバイスをしてくれます。
他の病気ならば、本人を連れていくのが当たり前ですが、認知症の場合はちがいます。
認知症の専門医にとって、「本人が受診を嫌がり、家族だけが相談にくる」ことはよくあることであり遠慮することはありません。
むしろ、初診は本人抜きの方が望ましいことも多々あります。
ウソはついても良いウソもある
認知症関連の多くの本には正直に「認知症の疑いがあるから検査に行きましょう」と説得するのがベストだと書いてあります。
確かにこれは正当法であり、もっともな手段でしょう。
しかし、家族はそれで上手くいかないから困っているのです。
そこで、「認知症の検査」ということは言わず、「健康診断」ということにして誘ってみましょう。
※もしも、あなたが本人の配偶者ならば、、

もうお互い年だし、一緒に健康診断を受けておこう
このように誘ってみると良いでしょう。
※もしも、あなたが本人の娘、息子ならば、、

高齢者向けの健康診断の通知が来たから行きましょう
このように誘ってみると良いでしょう。
高齢者を動かしやすいのは「公的な通知がきた」という知らせです。
病院についてしまえば、自宅では怒ったり、反抗したりしていた人も、医師や看護師の指示にはおとなしく従ってくれるもの。
また、このように健康診断とウソをついて検査を受けさせる場合は忘れずに事前に医師に明かしておきましょう。
認知症の検査だとわからないように協力してくれるはずです。
ウソはなにも悪いことばかりではありません。
本人のためを思う優しいウソだってあるのです。
正直に説得して連れて行く正当法がうまくいけばそれに越したことはありません。
しかし、どうしても難しい場合は、このような「本人のためを思う優しいウソ」に切り替えましょう。
なにがなんでも認知症の早期発見のチャンスを絶対に遅らせてはいけません。
世間の風潮を変えていくことが必要
テレビなどでは、認知症になってしまった時の悪い面ばかりが強調されがちです。
また、今だに残る「ボケ」、「痴呆」などの言葉にも偏見的な世間の意識があらわれています。
このことが、「認知症=恥」という図式を生み出し、多くの人が受診を嫌がる原因となっています。
しかし、今や認知症は、早期発見することで進行が遅らせることができるようになりました。
今の認知症に対する誤解を解いていかなければいけません。
【今の間違っている風潮】

年はとりたくない。ボケたらもう終りだ。

【これからの正しい風潮】

年をとるのは素敵なこと。認知症になっても大丈夫。
このように「間違った風潮」から「正しい風潮」へ変えていきましょう。
今の間違っている風潮のままでは、ますます早期発見を遅らせてしまうことになり認知症を悪化させていくことになります。
認知症に対する偏見や誤解を解いていくことができれば・・・
■早期発見で進行を大幅に遅らせることができる
■より効果的な新薬が出てくる可能性がある
■サプリメントやアロマなどの研究が進んでいる
これらのことが広まり、本人がみずから進んで受診するケースが増えてくるはずです。
それにはまず私たちひとりひとりが認知症を正しく知り、そして見方を変えていかなければいけません。
超高齢化社会に入った日本。
本人が受診を嫌がってしまう今の状況は、いち家族の問題だけではありません。
これから認知症がもっと増加していく日本全体の大きな課題といえるでしょう。