時代の背景から現在と未来の高齢者を眺める

日本は超高齢化社会に入りました。

今や国民の4人に1人が65才以上の高齢者です。

4人に1人となれば国内の存在感は非常に大きく、実際に年金、医療費、介護保険料などたくさんのお金が使われています。

そのため・・

高齢者を支えることで日本経済に大きな負担がかかっている

という若い人たちの声もちらほら聞こえてきます。

しかし、これは今だけを見つめている意見です。

過去、そして未来を見つめると、現在の高齢者に対する気持ちは変わってくるでしょう。

では、くわしくみていきましょう。

戦後の日本を支え、発展させてきた人たち

日本は敗戦から復活して経済大国になりました。

今の高齢者は戦後の貧困生活を味わいながら、一生懸命働き、経済を繁栄させてきた人たちです。

今のようにいつもお腹いっぱい食べることができた時代ではありません。

そのような中で、日本を支えてきたのが現在の高齢者なのです。

空腹を知らずに物事に取り組める私たちには想像がつかない大変さだったでしょう。

そんな過酷な中で、今の高齢者は日本社会を支え、発展させてきた人たちなのです。

高齢者の経験は貴重

今はインターネットの時代です。

ありとあらゆる情報がスマートフォンやパソコンからすぐに得ることができます。

しかし、それはあくまでも知識だけが増えただけのこと。

実際に、身体を使い、悩み苦しみ喜びながら体験してきたことに遠く及ぶはずがありません。

それゆえに、高齢者がくぐりぬけてきた経験は非常に貴重なのです。

しかも、今の私たちが経験したくてもできるものではありません。

たとえ認知症になっても、昔の記憶は残っているもの。

認知症のことは取り払い、本人そのものを見つめて昔の話を聞いてあげましょう。


介護者(笑顔)

お母さんが小さい頃ってどんなことして遊んでたの?


母(ほ)

昔は、あやとりやお手玉で遊んでたよ。今の子たちは知らないだろうねえ

このように本人が経験してきた昔の話を聞けることはとても貴重なことです。

未来の自分のために

高齢者をいたわる社会は大切です。

もしも、高齢者のことをほったらかしにする社会になったらどうなるでしょうか?

その分、私たちは楽になりますか?

いいえ、なりません。

逆に、子供である私たちが「何とかしなければ!」と大きな負担がかかるようになり、苦しくなることでしょう。

さらに、「高齢者になっても大丈夫」という社会全体の安心感が崩れてしまいます。

未来に対する安心感がなくなるということは、今現在も不安になるということ。

つまり、高齢者を大切にいたわるということは・・

自分の未来のため、そして今のためでもあるのです。

さらに、それは子供たちの未来と今のためでもあるのです。

広い視野で高齢者を眺める

ひとくちに高齢者といっても当たり前ですがさまざまな人がいます。

それは認知症を患っても同じこと。

ただ、今は老化とともに、認知症という病気がくっついたことで衰えてしまったように見えるだけです。

しかし、ひとりひとり、すべての高齢者の方が、長年にわたり人生経験を積み、あらゆることを学んでこられたでしょう。

ですから、広い視野から眺めれば・・

老化とは進化

なのです。

高齢になっても、認知症を患っても私たちの人生の先輩であることに変わりありません。

なによりも、高齢者は未来の私たちの姿でもあります。

このように今だけでなく、過去、そして未来を通して、その人を眺めると介護のありかたが変わってくるのではないでしょうか?

確かに介護は辛くて大変なことです。

しかし、どのような気持ちで介護に向き合うかはあなたの自由。

ぜひ、広い視野で眺めてあげてみてください。

介護者(ほ)

私自身の未来のために・・・

本人だけでなく、なによりも自分のために。